基底細胞腫

犬の**基底細胞腫(きていさいぼうしゅ)**は、皮膚にできる良性腫瘍の一つです。

高齢の犬でよく見られ、進行がゆっくりで転移の心配がほとんどない腫瘍として知られています。

🐾 1. 症状
基底細胞腫は次のような特徴があります。
● 見た目
丸くてコロッとしたしこり」
大きさは数ミリ~数センチ
しこりの表面がつるつるしている」ことが多い
色は「黒っぽい、茶色、ピンク」などさまざま
毛が生えたまま膨らんで見えるものもある
● できやすい場所
「頭」 「首」 「肩」 「背中」など、どこにでもできます。
● 症状の進み方
ゆっくりと大きくなる
 痛みや痒みがないことが多いです。
こすれて出血したり、犬が気にして舐めてただれたりすることもあります。

🐾 2. 診断方法
● ① 視診と触診
しこりの形・硬さ・場所をチェックします。
● ② 針吸引細胞診(FNA)
細い針でしこりの細胞を採って顕微鏡で観察します。
多くの場合、この検査で良性かどうかの判断が可能です。
● ③ 組織検査(生検・切除後の病理検査)
しこりを一部、または全部切除して詳しく調べます。
確実に診断できる最も信頼性の高い方法です。

🐾 3. 治療方法
● 基本は「外科手術での切除」
完全に取り除けば再発はほとんどしません
良性だとしても、今後大きくなる可能性があるため切除が勧められることが多いです。
● 腫瘍が大きい・場所が悪い場合
状況によっては次のような選択肢もありえます。
部分切除(サイズを小さくする)
経過観察(高齢や他の病気がある場合)
※基底細胞腫はほとんどが良性のため、放射線治療や抗がん剤治療は通常必要ありません。

🐾 予後
手術で完全に取れれば予後は非常に良好です。
転移はほぼなく、再発もまれです。

🐾 飼い主さんが気をつける点
しこりを見つけたら早めに動物病院で診てもらいましょう
大きくなくても放置するとこすれて炎症を起こす可能性があります。
切除後も、他の場所に新しいしこりができないか定期的にチェックが必要です。

       切除前

       切除後

切除して1年経過後も再発なく経過良好です。