犬の直腸にできる腫瘍には、良性の直腸腺腫と、悪性の直腸腺癌があります。
どちらも早期発見が重要で、対応によって経過が大きく変わります。
■ 直腸腺腫(良性腫瘍)
<症状>
・排便時のいきみ(しぶり)
・便が細くなる、出にくい
・肛門から腫瘤が出てくることがある
・軽度の出血や粘液便
比較的ゆっくり進行しますが、大きくなると排便障害が目立ちます。
<診断方法>
・直腸内触診(獣医師が指で触って確認)
・内視鏡検査
・組織検査(生検)で良性か悪性かを判定
<治療方法>
・外科的切除(肛門からの切除が一般的)
・小さい場合は比較的低侵襲で摘出可能
<予後>
・完全に切除できれば良好
・再発することもあるが、命に関わるケースは少ない
<飼い主さんが気をつけること>
・排便の様子を日常的に観察
・再発チェックのための定期検診
・高齢犬で発生しやすいため、違和感を見逃さない
■ 直腸腺癌(悪性腫瘍)
<症状>
・強いいきみ(しぶり)
・血便(鮮血)
・便が細い・出ない(便秘)
・体重減少
・元気・食欲の低下(進行時)
・進行すると周囲組織やリンパ節に広がります。
<診断方法>
・直腸内触診
・内視鏡検査
・組織検査(確定診断)
・画像検査(レントゲン、CT)で転移の確認
<治療方法>
・外科手術(可能であれば腫瘍切除)
・放射線治療(手術困難な場合や補助療法)
・抗がん剤(転移や再発リスクがある場合)
腫瘍の位置や大きさによっては完全切除が難しいこともあります。
<予後>
・腫瘍の大きさ・転移の有無で大きく変わる
・早期なら比較的良好な場合もある
・進行例では再発・転移が多く、予後は慎重
<飼い主が気をつけること>
・排便異常(いきみ・血便)を見逃さない
・早期に動物病院で検査する
・手術後も定期的な画像検査で再発チェック
・排便がつらそうな場合は生活の質(QOL)を考慮したケア
■ まとめ(重要ポイント)
直腸腺腫=良性、予後良好(ただし再発あり)
直腸腺癌=悪性、転移リスクあり
共通して「排便の変化」が最初のサイン
早期発見・早期治療が最も重要です。
当院に来た子は、排便時力んでいる時に直腸が出てきてしまい来院されました。


病理結果は低悪性度の直腸腺癌でしたので、2年間定期検診を行い、
転移や再発なく経過良好で治療終了となりました。
