1. 耳道ポリープとは
犬や猫の耳道ポリープとは、耳の穴(外耳道)の奥や中耳(鼓膜のさらに奥)に発生する良性の「できもの」です。
特に若齢な猫に多く発生し、その多くは「炎症性ポリープ」と呼ばれます。
ポリープが大きくなると耳道を塞いだり、中耳炎を引き起こしたりして、さまざまなトラブルの原因となります。

(画像:正常な耳道)

(画像:耳道内に見られるポリープ)
2. 主な症状
耳を強く掻く、頭を振る、耳を痛がるなど、外耳炎に似た症状が続くまたは再発する
**耳垂れ(耳漏)**が出る(膿や悪臭を伴うことが多い)
外耳炎の治療を続けても治らない
【猫でよく見られる症状】
ポリープが喉の奥(鼻咽頭)に伸びた場合
→ 鼻づまり・いびき・呼吸が苦しそう などの呼吸器症状
【重度の中耳炎を併発した場合】
ふらつき、頭の傾きなどの前庭症状(平衡感覚の異常)
3. 診断と治療
🔍 診断
耳の中を詳しく観察するために
ビデオオトスコープ(耳科用内視鏡)検査が非常に有効です。
また、X線検査やCT検査で中耳や鼻咽頭の状態を確認することもあります。
確定診断には、切除した組織の病理検査が必要です。
🩺 治療
基本治療は、ポリープを根本から取り除く外科的切除です。
内視鏡を用いて低侵襲に切除できる場合もありますが、特に猫の炎症性ポリープでは、
**再発防止のために中耳の骨を開けて根元から除去する「鼓室胞骨切り術」**が必要なこともあります。
手術後は、炎症や中耳炎の治療のために
**抗生剤や抗炎症薬(ステロイドなど)**を使用します。

(画像:内視鏡手術中)
4. 飼い主様へ
「外耳炎が長引いている」「何度治療しても再発する」といった場合、
耳道の奥にポリープが隠れている可能性があります。
症状の悪化や中耳炎の進行を防ぐためにも、
気になる症状があれば、お早めに動物病院にご相談ください。
