犬と猫 乳腺腫瘍の予後因子について

犬と猫の乳腺腫瘍(乳がん)に関する情報をまとめました。
乳がんは主に雌犬・雌猫に発生する悪性腫瘍で、早期の避妊手術に予防可能な事が知られています。
特に猫の乳がんは予後が悪く、治療も大掛かりな手術となりますので、交配の予定がなく病気の予防をご希望の方は6ヵ月齢前後での避妊手術(卵巣子宮摘出)をご検討ください。

また乳がんの中でも以下の状況で予後が異なる事が分かってきました。

犬 悪性乳腺腫瘍の予後因子

①犬の大きさ 小型犬は悪性比率が低く、大型犬より生存予後が良好
②腫瘍サイズなど 直径3cm以上は予後が悪い傾向で、皮膚の自壊があるものは生存期間が短い(118日 vs 443日)
③転移・浸潤 リンパ節転移があると予後が悪い傾向。リンパ管浸潤なし1098日 vs あり179日
④ステージ ステージが高いと予後が悪い
ステージI:1226日、ステージⅡ:924日、ステージⅢ:287日、ステージⅣ:165日
⑤病理組織グレード グレード1:38カ月、グレード2:32カ月、グレード3:20カ月
⑥腫瘍の組織型 筋上皮細胞増殖を伴う複合型が予後比較的に良好
単純型→特殊型の順に予後が悪く、
腺扁平上皮癌(MST18カ月)
面皰状(MST14カ月)
充実生(MST8カ月)
退形成(MST3カ月)が特に悪い
癌肉腫・癌腫は悪性度が高い
⑦切除 完全切除 872日 vs 不完全 70日
veteirnary oncology vol8 106-107より抜粋

猫 悪性乳腺腫瘍の予後因子

①切除と合併症 両側乳腺切除 542日 vs 片側乳腺切除 289日
合併症:片側21.3%、段階的両側35.7%、両側(一度に)40.6%
積極的な手術になるほど合併症上昇
②腫瘍サイズ 最も重要な予後因子:3cm以上は予後が短い
3cm以上:4〜12カ月
2〜3cm:15〜24カ月
2cm以下:3年以上
③転移・浸潤 リンパ節・リンパ管浸潤+ →で生存期間短い
④組織学的グレード MST → グレード1:36カ月、グレード2:18カ月、グレード3:6カ月
veteirnary oncology vol8 106-107より抜粋