【症例紹介】FIPによるぶどう膜炎の猫がモルヌラピルビル治療で回復
― 写真で見る目の回復と治療経過 ―
FIP(猫伝染性腹膜炎)は、これまで「治らない病気」とされてきました。
特に目に症状が出る「ぶどう膜炎」は、痛みや視覚障害を伴うこともあり、飼い主さんにとっても不安が大きい病態です。
今回ご紹介するのは、FIPによるぶどう膜炎を発症した猫ちゃんが、モルヌラピルビルによる治療で目の炎症が改善し、元気を取り戻した症例です。
治療前後の写真も掲載していますので、参考にしていただければと思います。
■ 症例の概要
性別・年齢:メス(未避妊)/4か月
診断名:ドライタイプのFIP(非滲出型)によるぶどう膜炎
■ 初診時の様子
飼い主さんから「最近、目が濁ってきている」「目ヤニが出る」とのことで来院。
診察では、虹彩の混濁、前房膿瘍、フレアが確認され、眼科的検査と血液検査(SAA:猫ちゃんの炎症マーカー)、FIPの抗体検査などを実施しました。
【初診時の写真】

検査の結果、FIPによるぶどう膜炎と診断しました。
■ 治療内容
現在、日本国内ではFIPに対するモルヌラピルビルの正式な承認はされていませんが、特定の条件下で獣医師の管理のもと治験的治療として使用されることがあります。
今回の猫ちゃんには以下の治療を行いました:
モルヌラピルビルの経口投与(体重に応じた用量、1日2回)
点眼薬(炎症抑制)
■ 治療経過と回復
治療開始から2週間ほどで目の赤みが軽減し、猫ちゃん自身も少しずつ食欲・元気を取り戻しました。
投薬開始から約4週間後には、虹彩の混濁や炎症所見がほぼ消失。視覚反応も良好で、活動性も回復しました。
【治療後の写真】👉(ここに改善後の眼の写真を掲載)

■ 飼い主さまの声
「FIPと診断されたときは、本当にショックでした。でも、モルヌラピルビルのことを教えてもらい、治療を始めてみて本当によかったと思っています。目がきれいに戻って、また目を見て名前を呼んだら反応してくれる姿に、涙が出ました。」
■ 獣医師より
FIPによるぶどう膜炎は、早期に適切な治療を開始することで、視覚の回復や炎症のコントロールが可能です。
モルヌラピルビルはFIP治療の新たな選択肢として注目されており、今後の研究・承認が期待されます。
目の異常や、元気・食欲の低下など、FIPを疑う症状が見られた場合は、できるだけ早くご相談ください。
■ 注意事項
モルヌラピルビルの使用は、国内で正式に承認されたものではありません。
すべてのFIP症例に有効とは限らず、使用には獣医師の慎重な判断が必要です。
治療をお考えの方は、必ず獣医師とご相談のうえ、適切な情報をもとにご判断ください。