皮膚組織球種

病態

皮膚と皮下組織の腫瘍の中で、多く発生する良性腫瘍です。
赤色ドーム状のものが多く、直径は1~2cmです。
多くは若齢犬の頭部や耳介、四肢に発生します。

診断

典型的な見た目に加え、細胞診(針を刺して細胞を見る検査)で診断します。

皮膚組織球腫(退縮期)
皮膚組織球腫(退縮期)
細胞診

治療

特に治療は必要がなく、通常は3ヵ月以内に自然退縮します。
小さくならない場合や、動物が気にする場合のみ切除を検討します。

見た目
細胞所見

扁平上皮癌

病態

皮膚扁平上皮癌

初期には、表皮の日焼けした部分に皮膚炎が起こり、被毛が抜け皮膚の白い部分に病巣が発生します。
犬では、頭部と腹部、爪床(爪の根元)によく発生します。
猫では、耳翼、瞼、鼻鏡部に発生し、眼青色の白被毛の猫によくみられるといわれています。

口腔内扁平上皮癌

口腔内の腫瘍では発生頻度が非常に高いと言われています。
転移は少ないですが、局所浸潤性(骨を溶かす)が強く、痛みを伴う場合もあります。

症例

爪床にできた扁平上皮癌の治療例です。
右足の痛み(足を上げている)で来院されました。
右足の指(写真一番左)が腫れており、レントゲン写真では反対(正常)と比較すると骨融解(骨が崩れ溶けている)が見られます。
治療は切除が適応となり、切除後の病理検査で扁平上皮癌と確定しました。
現在は再発・転移もなく、経過良好です。