精巣腫瘍

病態

精巣が「がん化」した状態。
陰嚢内にある場合よりも、腹腔内(お腹の中)や鼠径部(内股)に精巣がある場合、がん化するリスクが約9倍上がるとの報告もあります。
セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫、セミノーマといった腫瘍があります。

診断

精巣は通常陰嚢内にあり、左右で大きさが変わらない状態が正常です。
触診上片側の精巣が大きくなっている場合は精巣腫瘍の可能性があります。

治療

精巣摘出が主な治療です。
陰嚢まで浸潤がある場合は、陰嚢ごと切除します。
術後の病理検査で良性・悪性の判断をします。

腫瘍化した精巣
萎縮した精巣
術後
左:萎縮 右:精巣腫瘍

外陰部腫瘍

病態

外陰部に形成される腫瘤として、乳腺腫瘍や膣および尿道の腫瘍、皮膚腫瘍などが挙げられます。
今回は外陰部の脇に腫瘤が形成された子のお話です。
陰部が腫瘍で押されて、右側に変位しています。このまま放置し、腫瘍が大きくなって尿道を圧迫し、尿が出なくなる危険性を考え、検査・手術をすることになりましたので。

診断

針生検(FNA)や切除生検による腫瘤の確定診断ののち、手術範囲を決定します。
また血液検査や画像診断で基礎疾患や遠隔転移の有無を確認する必要があります。
今回はFNAで紡錘形の細胞が得られ、平滑筋腫瘍が考えられたのですが、乳腺組織との関連も完全には否定できず、尾側乳腺(3−5乳区)と同時に、尿道を確保し外陰部毎一括切除する事となりました。

治療

外科切除が第一選択となることが多いです。
手術:尾側乳腺(3−5乳区)と同時に、尿道を確保し外陰部毎一括切除
病理検査:平滑筋腫 マージン(ー)
良性腫瘍であり、切除後経過良好です。排尿も問題ありませんでした。

乳腺腫瘍

病態

乳腺腫瘍は中高齢の未避妊雌において最も一般的に認められる腫瘍です。
良性と悪性(乳癌等)の比率は50%:50%と言われています。
初回発情前(生後半年前後)に避妊手術をすると、腫瘍発生率が0.5%以下に抑えられると言われています。

診断

未避妊の雌といったヒストリーと、乳腺部に「しこり」ができている事を確認します。
触診のみでは他の腫瘍の可能性もあるので、出来る限り針検査(FNA)等で腫瘍細胞の確認をします。

巨大腫瘤
1列切除術後
乳癌
乳癌
術後 摘出した腫瘍

治療

手術による摘出が第1選択となります。
乳腺腫瘍を確認したら、腫瘍の転移の有無や、全身状態を確認するために血液検査やレントゲン検査を実施します。
乳癌や悪性度の高い腫瘍の場合は補助的に抗癌剤を使います。