電気化学療法(ECT)

当院で新しい腫瘍治療ができるようになりました。

「電気化学療法(ECT)」というものです。腫瘍があるけど切除困難な場所にある、放射線治療の通院が出来ない動物などが適応となるかと思います。

電気化学療法(electrochemotherapy:ECT)とは?

腫瘍に電気を流し、抗がん剤の効果を良くする治療のこと。ヨーロッパでは比較的古くから導入されています。日本でも広がりつつありますが、まだ治療できる動物病院は少ないです。

なぜ腫瘍が小さくなるの?

腫瘍に約1000Vの電気をかけると、通常は細胞膜を貫通しにくい化学療法剤が細胞内に取り込まれるようになり(ブレオマイシンでは約700倍)、腫瘍細胞が死滅します。全身あるいは局所に投与される化学療法剤は、一般的な化学療法の数分の1以下であるため、全身の副作用が発現することはまれです。電気化学療法は、放射線治療ほど局所制御力はありませんが、切除困難な腫瘍や、不完全切除・辺縁部切除された悪性腫瘍を無治療で経過観察し続けるよりも再発率を低減することが可能と考えられています。

対象動物:犬、猫、エキゾチックペット

腫瘍腫瘍:肥満細胞腫、扁平上皮癌、肛門嚢癌など

実際の流れは?

  1. 術前検査 
  2. 全身麻酔 *電気を流すため全身麻酔が必要、30分程 日帰り
  3. 抗がん剤投与(ブレオマイシンの静脈投与)
  4. 8分後に腫瘍周囲全域に通電

<参考文献>

Veterinary Guidelines for Electrochemotherapy of Superficial Tumors(2022)

Matías Tellado, Lluis M. Mir and Felipe Maglietti